好奇心旺盛なリンウェルvs.ロウ。ただスケベなことしてるだけ。淫語/鏡プレイ/フェラ等何でも許せる人向け(約7,000字)

☆下学上達

 恋人が勉強熱心であるということは実に誇らしい。机に向かって調べ物をしたり、懸命に文字を書きつけていたりする姿は実に健気で背中を押したくなるし、あるいは自分にも何か手助けできることはないかと身の回りを気にすることもある。
 でも、これはちょっと度が過ぎてはいないか。
 好奇心というものは、これほどまでに人を突き動かすものなのだろうか。

「ねえちょっと、ロウの見せて」
 そう言ってリンウェルが跨ってきたのは、星も瞬く頃だった。
 俺は日課のトレーニングを終え、寝る支度を済ませてベッドに寝転がっていた。明日の依頼について書かれたメモを眺めつつ、徐々に瞼が重たくなってくるのを感じていた。
 そこでふと下半身に重みが掛かった。視線を持ち上げた先では、やたらと瞳をきらきらとさせたリンウェルが俺の穿いているものに手を掛けていた。
「ロウの、観察させて」
「……なんだって?」
 俺は思わず聞き返した。今のは聞き間違い、だよな?
 それなのにリンウェルときたら、
「いいでしょ、減るもんでもないし」
 あっけらかんとした表情でそう言い、下の寝間着をずり下ろそうとしてきた。まるで窓にかかるカーテンでも開けるかのように、何の躊躇いもない手つきだった。
「え、あ、ちょっと待てって……!」
 そう口にする頃にはもう寝間着は下着ごと膝のあたりまで脱がされていて、通称「俺の」は明かりのもとに晒されていた。戦闘態勢でもなければここは浴室でもなく、こんな形で自分以外の視線にさらされようとはまったく想定外のことだ。
 俺と一蓮托生のそれが戸惑いと連動して顔を下に向ける。心なしでもなんでもなくいつもより萎びて見えるのは、まるで普段は人に見せないプライベートを覗かれているような気持ちになったからだろう。
 そんなことはお構いなしのリンウェルは、これまた躊躇うことなくそれに指を這わせ始めた。上機嫌の彼女曰く、
「今日読んだ本にいろいろ書いてあってね。犬とか魚とかいろんな動物の体の仕組みが書かれてたんだけど、生殖ってやっぱり興味深いよね。読んでるうち、あれ、私ってロウのあまりちゃんと見たことないなって思って、今日は思い切って見せてもらおうと思って」
 つまりは好奇心が故の行動。「そういう気分になっちゃった……」なんて言葉をささやかれる甘い夢は、寝間着と一緒にベッドの下の床へ転げ落ちたのだった。
「ぐにぐに? っていうか、へなへな? へえ、普段はこういう形してるんだ」
 おもしろーい! と言ってリンウェルはそれをあらゆる角度から眺め、つつき、撫で回した。快感というよりもくすぐったさが勝り、思わず身を捩ろうとするが、足元に跨ったリンウェルの身体がそれを許さない。時折かかる吐息に変な気分を掻き立てられながらも、可愛くて勉強熱心な恋人のためと言い聞かせ、俺は必死にその羞恥プレイに耐え続けた。
「なるほどなるほど」
 リンウェルがようやく手を離した時、俺は思わずほっと息を吐いた。どうやらリンウェルを満足させることができたらしい。この恥ずかしい格好ともやっとおさらばだ。
 そう思ったのに、
「じゃあ次、おっきくして」さも当然のようにリンウェルがリクエストしてきた。
 もはや呆れて声も出なかったが、よく考えてみればあのリンウェルが複数形態存在するそれのひとつしか観察しないなんてありえないことだ。
 リンウェルなら全部観察して当然。むしろここまでがテンプレ。
「そんなこと言われたってなあ」
 とはいえ大きくしろと言われて瞬間的に変化させられるなら苦労しない。少なくとも俺はそんな技術は持ち合わせてはいない。
 応えてやりたいのは山々だがそれには相応の理由が必要だ。言い換えれば燃料、あるいはオカズとでもいうべきか。
「そういう気分にならねえとなあ」
 ちらりと横目で見やったのは、別に〈おねだり〉しようとしたわけじゃない。その身に着けている寝間着のボタンの1つや2つ外して見せて、なんなら少しくらい〈おさわり〉でもさせてもらおうかと思ったのに。
「じゃあ、こうする?」
 リンウェルは「俺の」を手のひらで包んだと思うと、そのまま先端に口を付けた。ちゅ、という音が聞こえたのと、リンウェルの上がった口角が見えたのはほとんど同時だった。
「あ、うあ……」
 ぬるりとしたものが根元から先端に上下する。丹念に唾液を塗り込むような動きはさらに舌の滑りを良くし、徐々に水音も増してくる。
 再びの想定外だったが、今度は「俺の」も素直に反応した。こういったことは久しぶりだからか、あるいはリンウェルの舌が的確なのか、腰はみっともなく震えた。
 おまけに指が一番柔いものを撫で上げるから堪らない。そこはいくら刺激を与えようと大きくも硬くもならないのに、リンウェルは執拗なまでにそれを弄り倒した。これではまるで玩具扱いだ。リンウェルの手のひらに転がされる、鈴なりの玩具。
 それは正解で、間違いだった。手のひらの中であっという間に膨らんだ「俺の」を見て、リンウェルは嬉しそうに言った。
「やっとおっきくなったね」
 竿を上下に扱き上げ、根元にも愛撫をしつつ、再び先端にキスをする。それはもう、この世の邪悪など一切知らないような無垢な笑顔で。
 そこでようやく俺は気付いた。もはや玩具扱いではない。リンウェルにとってこれは玩具そのものなのだ。
 絶望にも似た快楽は、リンウェルの咥内によってもたらされた。ぬるぬるとした粘膜が竿に絡みつき、先端に擦れる。部屋にはいやらしい水音が響いて、リンウェルが動くたび前髪が下腹部に当たった。
 それを後ろに流してやると、リンウェルは嬉しそうに目を細めた。舌の動きがいっそうねっとりとしたものに変わって、指には力でなく熱が込められる。伝わってくる気持ちは確かなもので、その瞬間愛おしさが募るのに、どうしてか俺は今にも突き上げてしまいたくなる衝動を抑え込むので必死だった。
 完全に膨れ上がったそれから口を離すと、リンウェルは再度観察を始めた。上から、下から、横から。それをまじまじと見つめては気になるところに直に触れる。
 羞恥などとうに薄れていた。そもそも初めから、下半身を見られて穴に入り込みたくなるような殊勝な矜持など持ち合わせてはいないが。
「どう、満足した?」
 訊ねてきたのはリンウェルの方で、小悪魔的な笑みには頭に角が生えているように見える。
「気持ち良さそうにしてたよね。いつもよりも良かった?」
 俺はその質問に素直に答えるのはどうにも癪だったので、「お前はどうなんだ」とはぐらかした。
「私? 私は結構満足したかな。こうやって改めて見てみて、いろいろと興味深いなって」
 リンウェルは笑って、それでいて達成感に満ちた表情で言った。この瞳の輝きは知っている。リンウェルが新しい発見をした時のものにそっくりだ。
「まだまだ知らないことがたくさんあるんだなって思ったよ。それもこんな身近にね」
 まだまだ勉強しなくちゃね、とリンウェルは言った。協力してくれてありがとう、とも。
「それにしても、なんでこんな形してるんだろうね?」
 ピークほどではないがいまだ硬さを保ち続けるそれを指先でつつきながら、リンウェルは言った。
「ほらこの部分。なんだっけ、カリだっけ。なんでこんな段差があるんだろう」
 不思議~、と呑気な声を出して、再びその部分に熱い視線を注ぐ。好奇心に満ちた、いや、もはや好奇心にすっぽり乗っ取られてしまったような視線。
 そんなリンウェルを見て、俺はなんだか悔しくなった。こんな状況でさえ、勝つのは結局リンウェルの知的好奇心なのだ。
 別にリンウェルが勉強熱心なことも、常に何かを知りたい気持ちでいっぱいなことも構わない。構わないし、俺はそんなリンウェルが好きなわけだが、どうにも今この瞬間だけは悔しい気持ちが湧いて出た。
 だからなのか、少し意地悪してやりたくなった。リンウェルの希望を叶えてやったんだから、自分もちょっとくらいいい思いをしてもいいだろう。
「……教えてやろうか?」
 思ったよりも低い声が出たことに驚いたが、俺はそれを誤魔化すようにして体を起こした。そのままリンウェルを後ろに押し倒し、穿いているものを下着ごと取り払う。
「え、何、ちょっと……!」
 後ろを向かせてベッドに四つん這いにさせると、俺は自分のそれをリンウェルの秘部へとあてがった。
「ま、まっ……、ああっ――――!」
 挿入と同時に上がる嬌声に心臓が大きく脈打つ。野生の動物のごとく全身を駆け巡る血液が、それの硬度を取り戻していく。
 リンウェルのナカは充分に潤っていた。もはや潤うという言葉では生ぬるいくらい、愛液でいっぱいだった。
「あっ、あんっ、あっ、あっ、ああっ、ああんっ……!」
 先ほどとは打って変わって淫らに声を上げ続けるリンウェルに、俺はからかうように言った。
「カリはな、他の奴のザーメン掻き出すためにあんだよ。自分以外のガキ孕まねえようにな」
 こんなふうにな、とぐりぐり最奥に押し付けた性器を一気に引き抜く。再び最奥を突き、引き抜き、それを何度か繰り返すと、秘部のところで愛液が泡立った。
「掻き出して掻き出して、空っぽになったとこに最後、自分のをぶち撒けるんだよ。子孫残すためとはいえ、よくできてるよな」
 理にかなっているなと感心する一方で、その独占欲には目を見張るものがある。自分が選んだ雌なら、たとえ他の雄を受け入れるような奴であろうと上書きしてでも孕ませようとする執念。理性を持つのがヒトだとはいうが、その行いが理性的なものかと問われると果たしてどうだろう。
 今こうして繋がっている自分たちも、理性とはずいぶんかけ離れている気がする。もうほとんど生まれたままの姿になりながら下半身を繋げ、およそ人間の言葉とは似ても似つかない声を漏らしている。
 俺は知っていた。リンウェルはこういう体位、こういう状況に一番興奮するのだ。
「お前のマンコ、すげえ濡れてたぜ。チンポしゃぶって興奮してたんだろ。お前って実はすげえスケベだよな」
 明るくて、本が好きで、努力家で、誰に対しても笑顔で――。他人のリンウェルに対する印象で言ったら、こんなところだろうか。あとは甘いものが好き、だとか。
 実際はそれだけじゃないことを俺は知っている。リンウェルは気持ち良くなれることも、実は大好きなのだ。
 普段の姿からはとても想像できまい。何せリンウェルは猫を被っているわけじゃないにしても外と内では結構態度が違うし、このことを知るのは当然ながら恋人の特権でもある。俺以外にこの真実を知る者がいたらそれはそれで大問題だろう。
 つまり、このリンウェルは俺しか知らないリンウェルで、俺だけのものということだ。日常で見せる笑顔ももちろん可愛いが、今の表情もそれとはまた違った可愛さがあり、それを独占できるなんて堪らなく気分が良い。あまりの良さに今にも達してしまいそうだ。
 それなのにリンウェルは、 
「いつもそうなわけじゃないもん……っ。ロウの前だから、スケベになっちゃうの……」などと言う。
「私はロウのしか受け入れないもん。掻き出す必要なんかないんだから……っ」
 がくがくと震える腕で必死に上体を支え、今にも泣き出しそうな声でリンウェルは言った。
 そんな可愛いことを言われたら。
 かっと頭に血が上り、もはや衝動のままに腰を打ち付ける。
「やあっ、はげし……っ!」
 誰のせいだと口にする前に、それはもうすぐそこまでやってきていた。堪らず大きく腰を引き、最奥を穿つ。続けて放ったそれでリンウェルのナカが満ちるのがわかった。
 自身を引き抜きながら、リンウェルを転がしてキスをする。リンウェルの呼吸は相変わらず荒いままだった。
「もう……ナカはダメって言ってるじゃん」
「んなこと言ったって、止めらんねえよ」
 あんなに深く絡みつかれては。おまけにあんな可愛い台詞まで囁かれて、昂らないわけがない。
「それにしてもお前、こういうことはあんまり詳しくねえんだな」
 意外だなと思った。自分でも知っているような知識を、あのリンウェルが得ていないなんて。
「知らないよ。聞いたこともなかった」
 自分は知識が偏ってるから、とリンウェルは言ったが、それにしてもこの分野においてはとりわけ浅いどころか表面すら撫でられていないんじゃないか。
「自分のどこにチンポ挿入ってるかも知らねえんじゃねえの?」
 からかうように言って、ふと目に入ったのはベッド際に置いてある姿見だった。その瞬間、ある悪魔的な考えが閃く。
 俺は体を起こすと、いまだ肩で息をするリンウェルをそちらの方へ導いた。
「え、なに? 何するの?」
「ここらへんで1回、全部学んどこうぜ」
 そう言ってリンウェルを膝の間に座らせ、何も身に着けていないその下半身を大きく開脚させる。ついでにはだけた寝間着の隙間から下着をずらして、乳首を解放してやった。
「やだぁっ、こんな格好……! はずかし……!」
「ほら、見てみろよ。鏡にお前のマンコ、全部映ってるぜ」
 顎を掴んでそちらを向かせると、鏡の中のリンウェルと目が合う。鏡に映ったリンウェルの秘部からは、先ほど自分が吐き出した精液が重力に従って零れ落ちてくるところだった。
「ここに俺のチンポ挿入ってんだよ。すげえ狭いのに、全部飲み込んじまうんだぜ」
「やぁっ、やだあっ……!」
 リンウェルはいやいや言いつつも、その視線を鏡の中の自分に注いでいた。好奇心が故に目が離せないのだろう。顔を背けようとしながらも、目線は一点に集中してしまっている。
「そんで、これがクリな。すげえ勃起して、やらしい色してるだろ」
 薄い茂みを掻き分け陰核を剝き出しにする。指で軽く摘まんでやると、リンウェルの体がびくりと大きく跳ねた。声は甘く色づいて、鏡の中の光景にも負けないほど淫らだ。
「ここ弄ってやると、すげえ濡れるんだよ。ほら、自分でもわかるだろ?」
 右の中指を挿入すると、ぬるりとしたものに包まれた。自分の吐き出したものより数倍滑りの良いそれが次々に外に溢れ出てくる。
「あ、あ……」
 とろりと流れ出るそれをリンウェルも目の当たりにしていた。ぬらぬらと光るそこに俺の指が触れるたび、腰をがくがくと震わせる。
 入り口を撫で回してやると、ひくひくと蠢くのがわかった。膝が震えている。「もう……ゆるして……」今にも泣き出しそうなリンウェルの声が聞こえる。
 虐めるのはここまでか。もう少し見ていたい気持ちもあったが、ここで一旦諦めることにした。何より、リンウェルの背後で昂ったそれがもはや我慢ならない。
 もう一度リンウェルの身体を持ち上げ、今度は膝の上に座らせる。膝というか、それの上に。
「お前のが俺の咥えてるところ、きちんと見とけよ」
 鏡で位置を調整しながら挿入し、腰を突き上げる。
「ひっ……ああっ……!」
「ほら、どうだ? わかるか?」
 俺の問いかけに、リンウェルははっきりとは答えなかった。ただ突き上げられた衝動で甘い声を上げながら、それでいて時折うわごとみたいに「はいって、る」と呟いている。
「全部、根元までずっぽり咥え込んでるんだぜ。わかるよな?」
 これが正常位、バックになればさらに深くなる。もっと奥まで繋がれる。そう直接教えてやりたいのは山々だが、残念ながらそんな余裕はなかった。散々焦らされたというなら俺の方で、今はもう絡みついてくる肉壁の感触を愉しむことしか考えられなかった。
 リンウェルの意識が鏡から逸れたことを確認すると、その身体をベッドに転がした。正面から抱き合い、キスをして、再び繋がって、あとはただひたすらに腰を打ち付ける。
 肉と粘膜と愛液が、全部混ざり合いながら俺に食い込んでくる。とろとろでぬるぬるで、もはや境界なんか存在しない。本当にひとつになったみたいな錯覚に陥った。
 リンウェルが必死そうに俺の首に縋りついてはキスを強請るので、これがまた卒倒しそうなほど可愛いかった。おそらく既に何度か達しているはずなのに、それでもなお甘い声を上げながら脚を絡めてくる姿に俺の胸はいっそう熱くなった。やっぱりリンウェルは健気だ。あらゆる場面において。
「ねえ、もうイきそう……イってもいい……?」
 舌足らずな声が聞こえたところで俺もスパートをかけた。乳首に軽く歯を立てた瞬間、すべてを搾り取るようなナカの動きにもうなすすべもなかった。俺は堪えていたそれを一気に吐き出すと、脱力してリンウェルの隣へと倒れ込んだ。
「……ダメって言ったのに。これで2度目」
 リンウェルはそう言って俺の鼻を摘まみ上げた。「まあ、1回も2回も変わんないけど」
「悪かったって。けど、いっぱい学べただろ」
「学んだけど、学びすぎだよ。やりすぎ。あんな格好までさせるなんて、ひどい。恥ずかしかったし……」
 小さくむくれて背を向けたリンウェルを、俺は「悪かった」と後ろから腕を回して抱き締めた。「けど、すげえ可愛かった」
「こういうことはもう充分学んだからね。充分勉強できたから」
 リンウェルは言ったが、果たしてそうだろうか。リンウェルなら、もっと高みまで上り詰められそうな気がするんだけどな。何せ好奇心旺盛だから、そういうのに目覚めたらもっと気持ち良くなれるはず。
 むしろその好奇心をそっちに向けてもらうっていうのはどうだろう。そういう類の研究なら、俺だっていくらでも付き合うんだけどな。
 思いながら、これは胸に秘めておこうとも思った。口にしてしまったら最後、痛い目を見るのは誰なのかはわかり切っていることだった。

終わり